黙って



他人の故郷を懐かしく感じたら
鳥を見上げて
車道に寝転ぶ夢を見る

(汚れたかばんには
とても大切なものが入っていた
私はそれを取り出し、
取り出すだけなのだ)

カーテンは不安げに
嘘を消しては
何も隔てず
何も尋ねず

太陽は今日も焼かれて
月は未だ休めず
雨は、じっと黙っている
黙って降り続ける

(何も、何も、何も)

他人の故郷を懐かしく感じたら
鳥を見上げて
車道に寝転ぶ夢を見る

嫌なことは忘れろ
そして指折り数えた未来に

(雨は、何も、カーテンは)





090813